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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第20章 第二部・第四話【悲願花~女になった男~】 定命  
 明け方になった。熱は幾分かは引いたものの、とうとう二日間、高いままで、おきみの老いた肉体から更に生きる力を奪い尽くしていった。
 おきみの荒い呼吸が少しだけ楽そうになったのを見届け、小紅は一旦外に出た。また、湯を沸かさねばならないので、井戸に水を汲みに行くためでもあった。
 外に出た小紅を追いかけるようにして、栄佐がやって来る。
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