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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第2章 【残り菊~小紅と碧天~】 恋一夜
やがて赤児は準太郎という名前から、難波屋の跡継ぎらしく準平と名を改めた。おきわは権高で主筋の娘であるという立場を殊更ひけらかし、準平を溺愛したが、武平は誰が見ても至らない妻を大切にした。準平も我が子同然に可愛がった。
お琴が膳を下げて出ていった後も、小紅は深い物想いに沈んだ。
十四歳で難波屋の正式な跡取りとなり、十七歳で七つ上の姉さん女房と結婚した叔父。しかも、女には連れ子までいた。