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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第21章 第二部・第四話【悲願花~女になった男~】 兄の悩み
お彩の良人先々代の京屋市兵衛こと陽斎は京屋の血筋ではない。家付き娘の婿となり、主人となったのだ。小紅の父仁平と同じで元は京屋の奉公人であった。
その陽斎が後添えとして、京屋の縁戚筋の娘ではなく、お彩を迎えると言い出した時、周囲は猛反対したそうである。お彩は錺職人の娘だった。だが、お彩は時に冷徹ともいわれる良人の商いを陰から支え、良人とは異なる温もりのあるやり方で客の心を捉えた。その長年の内助の功があればこそ、京屋は陽斎の代で更に身代を倍以上も大きくしたのだ。
その陽斎が後添えとして、京屋の縁戚筋の娘ではなく、お彩を迎えると言い出した時、周囲は猛反対したそうである。お彩は錺職人の娘だった。だが、お彩は時に冷徹ともいわれる良人の商いを陰から支え、良人とは異なる温もりのあるやり方で客の心を捉えた。その長年の内助の功があればこそ、京屋は陽斎の代で更に身代を倍以上も大きくしたのだ。