この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第22章 第二部・第五話 【冬柿】 予兆
栄佐は内心、納得した。何故、初対面のこの男にどこかで逢ったような気がしてならなかったか。男の眼許は小紅ととてもよく似ているのだ。小紅は自分を棄てた薄情な父親のことをそれでも懐かしげに語るときがあって、
―私はおとっつぁんよりもおっかさんに似ているといつも言われたの。
と話していたものだが、なかなかどうして、小紅はこうして見る限り、父親にも似ている。身の丈こそ低いが、仁助もそれなりに整った面立ちをしているのだ。
―私はおとっつぁんよりもおっかさんに似ているといつも言われたの。
と話していたものだが、なかなかどうして、小紅はこうして見る限り、父親にも似ている。身の丈こそ低いが、仁助もそれなりに整った面立ちをしているのだ。