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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第24章 第二部第五話 【冬柿】 父と娘
小紅が綺麗な身体でいると信じている仁助には、このときばかりは栄佐はまともに顔を合わせられなかった。二年前、嫌がる小紅を無理に手籠めにして処女を散らしてしまったのはいまだに苦い後悔となって栄佐を苛んでいる。自分でも思い出したくない人生の汚点だった。
「武平にもひと言礼を言いたくても、あいつももう逝ってしまった。この世の役に立つ男が早死にして、私のような屑が残ってしまう。人の世とは思うに任せないものだ」
「武平にもひと言礼を言いたくても、あいつももう逝ってしまった。この世の役に立つ男が早死にして、私のような屑が残ってしまう。人の世とは思うに任せないものだ」