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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第24章 第二部第五話 【冬柿】 父と娘
「おい、栄佐。何をしけた顔して黙(だんま)りを決め込んでるのよう。そんな辛気くさい顔は通夜にでも行ったときだけにしな。折角の酒がまずくなるし、何より、あんたのその綺麗な顔が台無しだよ」
 やれやれと、栄佐は小紅を見やる。白い雪膚はほんのりと紅く染まり、眼許までうっすらと染めて、何とも色っぽい。邪魔な親父がいなければ、このまま勢いで押し倒してしまいそうだ。
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