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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第24章 第二部第五話 【冬柿】 父と娘
この父娘、やはり流石は親子、根っこのところはよく似ているようである。小紅と仁助を仲直りさせるために、酒の力をちょいと借りてやろう―とは、彼自身が考え出したことだったが、これはいささか上手く行きすぎた感がある。
確かに彼の目論見は当たった。仁助を連れて長屋に戻った時、小紅は一瞬嬉しげな安堵の表情を見せた。仁助に縋り付いて泣きさえしたのだ。しかし、その後は二人ともに最初は頑なに口をつぐんで重たい雰囲気だった。
確かに彼の目論見は当たった。仁助を連れて長屋に戻った時、小紅は一瞬嬉しげな安堵の表情を見せた。仁助に縋り付いて泣きさえしたのだ。しかし、その後は二人ともに最初は頑なに口をつぐんで重たい雰囲気だった。