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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第24章 第二部第五話 【冬柿】 父と娘
父仁助が栄佐の口利きで煮売り屋を開いたのは、つい十日ほど前のことである。以前、同じ場所で煮売り屋をしていた老人が店を畳んで故郷の川越に帰るというので、栄佐が話をつけて店を屋台ごと買い取ったのだ。
何と栄佐はその費用をすべて負担してくれた。小紅が少しでも自分が払うと言ったのだけれど、最後まで聞かなかった。
―これは俺から親父さんの新たな門出へのお祝いだと思ってくんな。
そのひと言が小紅には何より嬉しかった。
何と栄佐はその費用をすべて負担してくれた。小紅が少しでも自分が払うと言ったのだけれど、最後まで聞かなかった。
―これは俺から親父さんの新たな門出へのお祝いだと思ってくんな。
そのひと言が小紅には何より嬉しかった。