この作品は18歳未満閲覧禁止です
一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第26章 第二部・第六話【春咲く花】 略奪
悶々と薄い夜具の中で寝返りを打った挙げ句、沈黙に堪えきれず小紅に声をかけた。
「小紅、眠ったか?」
すると、意外にもすぐに反応が返ってきた。
「まだ」
「そうか」
栄佐は短く応え、小紅には知られないように息を吐いて天井を見つめた。
首をひねって傍らの小さな屏風を凝視した。あの小さな仕切りの向こうに小紅がしどけない夜着姿で横たわっていると想像しただけで、身体の芯が熱く滾ってくる。