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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第26章 第二部・第六話【春咲く花】 略奪
戸を完全に閉て切って店を閉めて戸締まりを確認してから、今日、余分に拵えた茶団子の包みを持った。栄佐は茶団子が好物だから、歓ぶだろう。栄佐が美味しそうに食べるのを見るのが小紅は好きだ。
二月も半ば近くになり、江戸のあちこちでは梅が咲き始めている。今もどこかで咲いているのか、夜風にほんのりと梅の香りが混じって流れてきた。紫紺の空には銀砂子を撒いたような星々が煌めいている。さながら漆黒の布に美しく金糸銀糸で縫い取りをしたように輝いている。
二月も半ば近くになり、江戸のあちこちでは梅が咲き始めている。今もどこかで咲いているのか、夜風にほんのりと梅の香りが混じって流れてきた。紫紺の空には銀砂子を撒いたような星々が煌めいている。さながら漆黒の布に美しく金糸銀糸で縫い取りをしたように輝いている。