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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第27章 第二部・第六話【春咲く花】 逢瀬
「そうですか、それなら、折角の公方さまのお膝元だ、せいぜいごゆっくり見物していきなさるとよろしいですよ。お昼ご飯をお持ちしましょうか?」
「いや、昼はもう先に済ませてきたから良い」
「あらま、そうですか。じゃあ、夕食も外でお召し上がりに?」
「夕餉はこちらで頂こう、夕餉も良いが、姉さん、ここが用意してくれるものは夕餉だけかい?」
意味深な流し目を寄越すと、女はポッと頬を染めた。