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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第3章 【残り菊~小紅と碧天~】 旅立ち
やはり、無理だ。小紅は二度目の大きな息を吐き出し、首を振る。
不幸にも準平は小紅がこの世で最も嫌いな質の男だ。良い歳をしてろくに働こうともせず、親の臑をかじって恥ずかしいとも思わない。甘えたいだけ甘え放題で、説教されれば悪態をつく。
これから自分はどうなるのだろう。あんな男と夫婦となって、果たしてやってゆけるのか。小紅が思い描く未来は、暗澹としており、何の希望も見いだせなかった。