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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第27章 第二部・第六話【春咲く花】 逢瀬
緋色の褥はまるで夕刻に見た、血の色に染まった太陽のようだ。その褥に小紅が横座りになると、信右衛門は満足げに頷いた。
「そう、素直で良い子だ。後はすべて私に任せておけば良いからね」
今宵、小紅は江戸でいえば花魁風のなりをさせられている。纏う打ち掛けは深紅の椿を思わせる鮮やかな紅。下の小袖は春に咲く可憐な桜の薄紅色で全体に波と飛び跳ねる白兎が散っている。前に大きく結んだだらりの帯は艶やかな黒檀を思わせる黒。
「そう、素直で良い子だ。後はすべて私に任せておけば良いからね」
今宵、小紅は江戸でいえば花魁風のなりをさせられている。纏う打ち掛けは深紅の椿を思わせる鮮やかな紅。下の小袖は春に咲く可憐な桜の薄紅色で全体に波と飛び跳ねる白兎が散っている。前に大きく結んだだらりの帯は艶やかな黒檀を思わせる黒。