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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第3章 【残り菊~小紅と碧天~】 旅立ち
武平の伴をして深川に行った番頭は、別室で主人の帰りを待っていた。そこに急な知らせが寄越されたのだという。
「何でも賭場で若旦那さまが諍いを起こされた挙げ句、相手を匕首(あいくち)で刺しちまったとかで、旦那さまは慌てて、そちらにお向かいになりました」
相手は旗本の四男で、職もなく遊び歩いてるような極道息子だった。要するに身分は違えども、似たようなどうしようもない二人が些細なことで口論だけでは済まず、取っ組み合いの喧嘩となった。
「何でも賭場で若旦那さまが諍いを起こされた挙げ句、相手を匕首(あいくち)で刺しちまったとかで、旦那さまは慌てて、そちらにお向かいになりました」
相手は旗本の四男で、職もなく遊び歩いてるような極道息子だった。要するに身分は違えども、似たようなどうしようもない二人が些細なことで口論だけでは済まず、取っ組み合いの喧嘩となった。