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第27章 第二部・第六話【春咲く花】　逢瀬

　小紅は鳥になっていた。いや、彼女自身の魂(こころ)が鳥と化して、はるか天空の高みにまで昇りつめていったのだ。そして彼女が鳥ならば、栄佐は鳥を抱く蒼穹だった。彼女ははるか高みで悠々と翼をひろげて飛翔する。
　この瞬間、小紅の心と身体は蜜を求めてやってきた蝶にいざなわれるかのように、女として開花したのだった。
　これまで一度も感じたことのないようなこの果てのない快感は甘い蜜の鞭に打たれ、それで身体中を絡め取られ縛り付けられたかのようだ。あまりにも烈しい快楽を与えられ過ぎて、小紅はついに意識を手放してしまった。