この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第1章 【残り菊~小紅と碧天】 始まりは雨
父と叔父の違うところは、女房に先立たれても酒浸りにならず、これまで以上に商いに励むところだ。小紅から見れば、おきさは武平にもいつもきゃんきゃんと煩い犬のように悪態をついていて、けして良い女房には見えなかった。
それでも武平はおきさを大切にしていた。女房に先立たれて落胆していないはずはないのに、哀しみを見せず商売に打ち込んでいる。それこそが、まさに男のあるべき姿のように思え、小紅は何故、父に叔父のような度量の大きさがなかったのかと哀しく思った。
それでも武平はおきさを大切にしていた。女房に先立たれて落胆していないはずはないのに、哀しみを見せず商売に打ち込んでいる。それこそが、まさに男のあるべき姿のように思え、小紅は何故、父に叔父のような度量の大きさがなかったのかと哀しく思った。