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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第4章 【残り菊~小紅と碧天~】 流星
 小紅は眼を見開いた。
「ええ、そうよ」
 更に栄佐は視線を泳がせた。
「見たところ、お前は一人暮らしで、ここに男がいるような痕跡はねえ。なのに、何で男の着る綿入れなんかを着る?」
「ああ、そういうこと」
 小紅は納得した。
「これは大切な男(ひと)の形見なの」
「大切な男―。惚れてたのか?」
 栄佐の声はますます低くなった。
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