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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第4章 【残り菊~小紅と碧天~】 流星
「こんな可愛い娘に逢ったら、忘れないはずだがな」
 しれっと女心を蕩かせる科白が出てくるのは、やはり、この男、女タラシなのだろうか。もっとも、これだけの男なら、放っておいても餌に群がる鯉のように女どもが寄ってくるだろうが。
「どこかですれ違ったとかないかしら」
「さあ、俺の方はとんと身に憶えはねえが。お前のような別嬪なら、面識があったとしたら大歓迎だ」
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