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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第5章 【残り菊~小紅と碧天~】 いちばん幸せな日
あたかも芝居の一幕を見るかのようなひと刹那、栄佐は華麗な剣さばきを見せつける。舞うがごとしのそれは、優美な鯉が銀色に輝きながら滝を上る姿にも似ていた。
静寂の後、現に返った小紅が見たのは、ただ宙を飛んでゆく匕首であった。
準平が悲鳴を上げながら、駆けてゆく。固唾を呑んでなりゆきを見守っていた駕籠かきたちも後を追うように走り去った。
間違いなく、栄佐は刀を使える。しかも、小紅が見ても判るほど相当の使い手だ。
静寂の後、現に返った小紅が見たのは、ただ宙を飛んでゆく匕首であった。
準平が悲鳴を上げながら、駆けてゆく。固唾を呑んでなりゆきを見守っていた駕籠かきたちも後を追うように走り去った。
間違いなく、栄佐は刀を使える。しかも、小紅が見ても判るほど相当の使い手だ。