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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第5章 【残り菊~小紅と碧天~】 いちばん幸せな日
叔父に連れられていった随明寺の縁日。随明寺は黄檗宗の名刹で、開基は浄徳大和尚である。月初めに一度、市と呼ばれる縁日があり、広い境内にはあまたの露天商が建ち並ぶ。
あれは確か、小紅が七つくらいだったのか。右手に小紅の手を引いて、左手に準平の手を引いていた叔父は愉しげに笑っていた。あの日も風車売りが店を出していて、叔父は二人にそれぞれ風車を買ってくれた。
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