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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第6章 【残り菊~小紅と碧天~】 運命が動き出す瞬間
「さあ、出番だぜ」
 梅光が頷き、一同を見回した。
「はいっ」
 と、その場に控えた総勢十数名の声が出番前の張りつめた空気を震わせる。
 小紅の場所は、何と立て役梅光のすぐ隣であった。促され位置に着いた小紅は〝行くぞ〟と梅光の声に促され、舞台に足を踏み出す。
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