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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第6章 【残り菊~小紅と碧天~】 運命が動き出す瞬間
栄佐に指示されたとおり、まだ舞台袖に残っている仲閒から抜け、一人、控え室に戻る。舞台衣装をすぐに脱ぎ棄て、化粧もすべて落とした。少し勿体ない気もしないでもないが、ただの小娘が女形に化けて天下の名女形梅光と共演できたのだ。それだけで一生の記念になるだろう。
夜着姿というわけにもいかないだろうからと、予め栄佐が出してきてくれた着物に着替えた。何しろ、ここは芝居小屋だから、町娘から花魁まで衣装の種類は色とりどり、選び放題なのだ。
夜着姿というわけにもいかないだろうからと、予め栄佐が出してきてくれた着物に着替えた。何しろ、ここは芝居小屋だから、町娘から花魁まで衣装の種類は色とりどり、選び放題なのだ。