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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第6章 【残り菊~小紅と碧天~】 運命が動き出す瞬間
「あ、あの」
小紅は突然のなりゆきにおどおどと栄佐を見た。栄佐にも予想外の展開だったのか、整った面には濃い懸念の色が浮かんでいる。
花魁姿の梅光は神々しいほど美しく、迫力がある。じっと見つめられると、身体がどんどん強ばって緊張のあまり石になってしまいそうだ。
「お前さん、名は?」
「小紅といいます」
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