この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第7章 第一部・第二話【赤とんぼ~小紅と碧天~】
しかし、ただの甘えた坊ちゃんではない。流石に〝大商人(おおあきんど)〟と呼ばれる先代の血は争えず、澄んだ眼(まなこ)は時に鋭い光を帯びた。先代市兵衛は絶世の美男と江戸の女たちの熱い視線を集めたものだが、この若い京屋の主人もまた父の若かりし頃を彷彿とさせる美貌だ。
加えて母譲りの端正な面立ちもこの若い主人をいっそう魅力的に見せている。両親ともに息子の嫁探しに躍起になっているのに、当人はどんな縁談が来てものらりくらりと交わして両親を嘆かせている。
加えて母譲りの端正な面立ちもこの若い主人をいっそう魅力的に見せている。両親ともに息子の嫁探しに躍起になっているのに、当人はどんな縁談が来てものらりくらりと交わして両親を嘆かせている。