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第7章 第一部・第二話【赤とんぼ～小紅と碧天～】

―今回、立て役になれなかったら、これから先は更に厳しくなるだろうな。正直言って、もう見込みはないかもしれねえ。
　などと、いつも強気の彼にしては珍しい気弱な科白を呟いていて、小紅なりに彼のことを心配している。
　なので、ここのところ栄佐の機嫌はすごぶる不安定だ。妙に明るくはしゃいでいるかと思えば、また急に悄然としてふさぎ込んだりもする。それがすべて配役発表のせいだと判っているから、小紅は不必要に彼を刺激しないように気を付けてきた。