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第7章 第一部・第二話【赤とんぼ～小紅と碧天～】

　絵馬堂は名のとおり、願い事を記した絵馬を奉納する場所である。さして大きな御堂ではないが、正面に両開きの格子扉があり、所狭しと絵馬が掛けられているのが印象的だ。小紅は今、絵馬堂の前に佇んでいた。無数の絵馬を抱いた小さなお堂は白昼なお、ひっそりと静まり返っている。
　御堂の少し手前には朱塗りの鳥居が建っており、お堂のすぐ前まで百度石が続いていた。深夜にはお百度を踏む人の姿も見られるという話だ。