パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第7章 第一部・第二話【赤とんぼ～小紅と碧天～】

　これだけの絵馬の数の人の想いや願いがここに託されていると思うと、何か無数の絵馬から強い力が発せられているように思えてくる。小紅は本堂で買い求めてきた絵馬を格子戸に結びつけた。既に買い求めた直後、借りた筆で願い事は書いてある。絵馬やお守りの販売所ではいつでも参詣人が使えるように墨硯や筆が用意されているのだ。
　絵馬を奉納し、お賽銭を賽銭箱に投げ入れて真摯な気持ちで両手を合わせた。ひとしきり無心に祈りを捧げた後、振り返った小紅は小さな叫び声を上げるところだった。