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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第7章 第一部・第二話【赤とんぼ~小紅と碧天~】
「でも、あなたに新しい名を呼んで貰ったら、この名前にも早く慣れるかもしれない。だから、市兵衛と呼んで下さい。市兵衛さまではなく、市兵衛さんで良いです」
「―市兵衛さん?」
恐る恐る呼ぶと、市兵衛は嬉しげに笑った。まるで光り輝くような笑顔は若い女なら、誰しもが魅了されずにはいられないだろう。この京屋の若い主人は間違いなく、これから大勢の女を泣かせるに違いなかった。何しろ美貌で知られる両親を持っていて、その二人ともに生き写しなのだから。
「―市兵衛さん?」
恐る恐る呼ぶと、市兵衛は嬉しげに笑った。まるで光り輝くような笑顔は若い女なら、誰しもが魅了されずにはいられないだろう。この京屋の若い主人は間違いなく、これから大勢の女を泣かせるに違いなかった。何しろ美貌で知られる両親を持っていて、その二人ともに生き写しなのだから。