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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第1章 【残り菊~小紅と碧天】 始まりは雨
 小紅がそのまま進もうとすると、いきなり手首を強い力で掴まれた。
「待て」
「まだ何かあるの?」
 瞳に力をこめて睨みつけてやると、彼に身体を壁に押しつけられた。彼が両腕を伸ばしたので、丁度、腕の中に閉じ込められた体勢になる。かなりの身長差があるため、小紅が準平を見上げる格好になった。
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