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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第8章 第一部・第二話【赤とんぼ~小紅と碧天~】 すれ違い
本当なら今すぐに追いかけていって、腕に力一杯抱きしめて謝った方が良いのは判っていた。だが、今の自分は何をしでかすか判らない凶暴さを秘めている。小紅を抱きしめたら、その甘い香りややわらかな身体の感触に酔いしれ、彼女を辱めようとした卑劣漢と同じように彼女の身体を汚そうとしかねない。
大体、小紅に惚れ抜いている自分は、いつだって彼女を抱きたくて堪らないのだ。だが、今の彼女の精神状態を思いやって手を出さないでいるのにはどれだけの忍耐と辛抱が必要としているのか、彼女は知らないだろう。
大体、小紅に惚れ抜いている自分は、いつだって彼女を抱きたくて堪らないのだ。だが、今の彼女の精神状態を思いやって手を出さないでいるのにはどれだけの忍耐と辛抱が必要としているのか、彼女は知らないだろう。