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第8章 第一部・第二話【赤とんぼ～小紅と碧天～】　すれ違い

　長屋に引き籠もって日々、悶々としている彼がふと神参りを思い立ったのは今朝の出来事だった。鍼医の仕事もせず、日がな九日後に迫った配役発表についてばかり考えていても、何も得るものない。幼稚な考え方で普段の栄佐なら笑い飛ばしていただろうが、こういうときは神頼みでも何でも良いから、何か行動を起こした方がはるかに合理的だと思ったのである。