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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第1章 【残り菊~小紅と碧天】 始まりは雨
わざと幼い子が呼ぶような無邪気な口ぶりで呼びかけられる。最後の呼びかけは五年前のあの日と同じように、小紅に耐え難いほどの嫌悪感を募らせた。
悔しさに思わず両脇に垂らした拳に力が入った。こんな卑劣な男、女をただ快楽の対象にしか見ていない男なんて、ここで一発ぶん殴ってやったら、どれだけスカッとすることか。しかし、叔父の手前、それはできない。遊廓で放蕩三昧、女の尻を追いかけ回すことしか生き甲斐も能もない道楽息子でも、叔父にとっては可愛い倅だ。
悔しさに思わず両脇に垂らした拳に力が入った。こんな卑劣な男、女をただ快楽の対象にしか見ていない男なんて、ここで一発ぶん殴ってやったら、どれだけスカッとすることか。しかし、叔父の手前、それはできない。遊廓で放蕩三昧、女の尻を追いかけ回すことしか生き甲斐も能もない道楽息子でも、叔父にとっては可愛い倅だ。