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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第9章 第一部・第二話【赤とんぼ~小紅と碧天~】 嫉妬
「内儀さん、私は―」
弾かれたように顔を上げた時、お彩と視線がぶつかった。流石は母子だ、徳太郎こと市兵衛とは眼許が写し取ったように似ている。その端正な面を眺めていると、お彩が笑った。
「徳太郎の意向は別として、私も以前、申し上げたように、あなたをとても気に入っているの。いずれ私に代わり内儀と呼ばれてこの京屋を切り盛りするのはあなたをおいて他にないと今でも考えています。できれば、京屋との縁組みをもう一度、考え直して頂けないかしら、小紅さん」
弾かれたように顔を上げた時、お彩と視線がぶつかった。流石は母子だ、徳太郎こと市兵衛とは眼許が写し取ったように似ている。その端正な面を眺めていると、お彩が笑った。
「徳太郎の意向は別として、私も以前、申し上げたように、あなたをとても気に入っているの。いずれ私に代わり内儀と呼ばれてこの京屋を切り盛りするのはあなたをおいて他にないと今でも考えています。できれば、京屋との縁組みをもう一度、考え直して頂けないかしら、小紅さん」