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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第1章 【残り菊~小紅と碧天】 始まりは雨
「酷い話でしょう? 旦那さまはお心を痛められて、その娘が嫁ぐときにもお孫さまを里子に出されるときも、かなりのお金をお使いになったそうですよ。なのに、結局、二人とも死んじまって。あんな極道息子をお持ちになっちゃア、旦那さまが健康を損なわれちまうのも仕方ないですね」
これから良人になる男が女中を手籠めにした挙げ句、孕ませた。その事実だけでも小紅にはかなりの衝撃であった。女が懐妊したとひそかに打ち明けたのに、憶えはないと言い切ったその無責任さにも余計に幻滅する。
これから良人になる男が女中を手籠めにした挙げ句、孕ませた。その事実だけでも小紅にはかなりの衝撃であった。女が懐妊したとひそかに打ち明けたのに、憶えはないと言い切ったその無責任さにも余計に幻滅する。