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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第9章 第一部・第二話【赤とんぼ~小紅と碧天~】 嫉妬
小紅は少しうつむき、戸惑ってから思い切って言った。この場合、嘘で塗り固めたまったく偽りを口にするよりは、あらかたを認めて肝心な部分だけを都合の良いように言い換える方が良い。少なくとも市兵衛のように利口な人を相手にするには、デタラメを並べるよりはよほど賢明だ。
「昨夜、確かに市兵衛さんが考えているようなことはあった。でも、それは私の好きな男が無理強いしたわけでもない、私が手籠めにされたわけではないの、私もその男を好きだから、私は求めてきたその男に身を任せたわ」
「昨夜、確かに市兵衛さんが考えているようなことはあった。でも、それは私の好きな男が無理強いしたわけでもない、私が手籠めにされたわけではないの、私もその男を好きだから、私は求めてきたその男に身を任せたわ」