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第10章 第一部・第二話【赤とんぼ～小紅と碧天～】　心の嵐

「まったく、栄さんも性懲りもない人だねぇ。いくら患者つったって、昼日中からあんな喘ぎ声を出されちゃ、こちとら聞いちゃいられないってんだ。ねえ、ここだけの話だけどさ、小紅ちゃんは本当にあの色っぽい岡場所の女将と栄さんができてないと思う？」
　つまり、深間になっていないかどうか？　ということである。もちろん、おしかは小紅と栄佐が相惚れの仲だとは知らない。
　小紅は流石に返答しかねた。すると、おしかがグイっと顔を寄せた。