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第10章 第一部・第二話【赤とんぼ～小紅と碧天～】　心の嵐

「あんた、自分の女を信じられないようで、よく人間やってられるね。なに、ガキみたいにつまらない嫉妬してるんだよ。よくよく考えれば、あの娘があんたという男がいながら、情人(いろ)をこしらえるようなすれっからしに見えるかい？　訊きたいことがあるんなら、さっさと当人に訊きゃア良いじゃないか。うじうじして、良い大の男が年端のゆかない女の子を泣かせたりして、最低だよ、あんたは。もう少し骨のある男だと思ったけど、見損なっちまったよ」