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第10章 第一部・第二話【赤とんぼ～小紅と碧天～】　心の嵐

　既に覚悟と決意は決まっている。が、それをどのような言葉で相手に伝えれば、できるだけ相手を傷つけ怒らせずには事が収まるのかを思案していたのだ。言い様によっては京屋ほどの大身代を敵に回し、割の良い仕事先を失うことになる。
　もっとも、京屋の主人との縁談を断るのだから、これから先も仕事を紹介して貰おうというのは虫の良すぎる話だろう。やはり、今後はまた新しい店を探すしかない。