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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第10章 第一部・第二話【赤とんぼ~小紅と碧天~】 心の嵐
「多分、俺は一生、立て役にはなれない。それでも、まだ自分が舞台が好き、役者として舞台に立てるだけで良いと思えたら、そのときに戻ろうと考えてるんだ。俺は根っから舞台が好きだ。だから戻るかもしれないし、もう、このまま役者は止めちまうかもしれない。だが、今は舞台から一旦遠ざかり冷静になって自分の心を見つめ直したい」
小紅は頷いた。
「判った、栄佐さんがそこまで考えているのなら、私は何も言うことはないわ」
小紅は頷いた。
「判った、栄佐さんがそこまで考えているのなら、私は何も言うことはないわ」