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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第12章 第一部・第三話 【月戀桜~つきこいざくら~】 十六夜の月
栄佐はまだ布団の中にいた。布団に寝ている男の一人住まいを訪ねるのは危険だ―、以前の経験がそれを告げていた。去年の秋も、そもそもはそこから始まった。栄佐は布団でふて寝していて、小紅との間にちょっとした諍いが起こり、逆上した栄佐が小紅を布団に引き入れた―。
だから、以前と似たような状況に接すれば、やはり動揺するし怖い。が、このところを乗り切らねば、いつまで経っても前には踏み出せない。小紅はそう思っていた。
だから、以前と似たような状況に接すれば、やはり動揺するし怖い。が、このところを乗り切らねば、いつまで経っても前には踏み出せない。小紅はそう思っていた。