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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第12章 第一部・第三話 【月戀桜~つきこいざくら~】 十六夜の月
いつだったか、小紅の初恋の男でもある叔父武平が口にした科白である。確かに理屈ではそうなのかもしれないが、やはり世の中、武平のような分別をわきまえた男ばかりではない。
健全な大人の男が長い間、女なしで過ごすのは身体的に難しい部分があるのだ、それが男の性(さが)というものなのだとも聞いていた。だが、女であり、ましてや一度、栄佐と膚を合わせたとはいえ、男女のことは殆ど知らない小紅には理解はできても、認めはできないことであった。
健全な大人の男が長い間、女なしで過ごすのは身体的に難しい部分があるのだ、それが男の性(さが)というものなのだとも聞いていた。だが、女であり、ましてや一度、栄佐と膚を合わせたとはいえ、男女のことは殆ど知らない小紅には理解はできても、認めはできないことであった。