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後宮艶夜*スキャンダル~鳥籠の姫君は月夜に啼く~
第1章 Prologue~白き花の下で~
Prologue~白き花の下で~

 少年はずっと頭上を見上げていた。もうかれこれ一刻以上に渡って、彼はその場所にいた。黒い瞳が向けられている先には白い大ぶりの花をたわわにつけた大きな樹が立っている。泰山木、彼の亡き母がこよなく愛した白き汚れない花。
 緑のつやつやとした葉と冬に降る雪のような純白の大輪の花は見た目も対照的で、眼にも眩しい。
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