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後宮艶夜*スキャンダル~鳥籠の姫君は月夜に啼く~
第11章 後宮艶夜*スキャンダル 接近~二つの心~
 思わず熱いものが込み上げて、紫蘭は懸命に堪えた。太后にとって自分はひとかけらの情けをかける余地もない存在なのだ。そんな冷酷な人の前で見せる涙なんて必要ない。いきなり死ねと言われて、はいと素直に従うしかない。―所詮、この女性にとっては、自分はそれだけの価値しか持たないのだ。
 ここで涙を見せるのは紫蘭にとっては屈辱以上のものでしかなかった。この冷徹な太后の前で取り乱して生命乞いしたとて、彼女が紫蘭の涙に心動かされることなど一切ない。
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