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後宮艶夜*スキャンダル~鳥籠の姫君は月夜に啼く~
第11章 後宮艶夜*スキャンダル 接近~二つの心~
「なりません。今ここで紫蘭さまがお生命を絶たれたとて、何一つ解決にはならないのです。紫蘭さまがこのようなご最後を遂げられたと知れば、ご実家の兄上さまや旦那さまがどれだけ哀しまれることでしょう」
「お父さまやお兄さまのことは言わないで」
紫蘭は初めて力ない笑みを浮かべた。覚悟はできているが、やはり紫蘭も人並みの情はある。今際のきわになって、父や兄の顔がちらついては未練が残る。