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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第3章   

「お嬢様。大人しくされたほうが身の為ですよ。

 女性を痛め付ける趣味嗜好は、私にはございません。

 ましてやお嬢様の美しいお身体に、

 打撲や傷痕など残したくありません。

 どうせならば苦痛よりも、甘い夢を見させて差し上げたい――」

「………………っ」

 言外に「これ以上抵抗を続ければ暴力を与える」と脅迫され、

 ヴィヴィは完全に茫然自失の状態に陥ってしまった。

(どう……して……? どうして、こんな事に……)

 襟と袖口が白い、水色と白の縦縞のシャツワンピ。

 薄い布越しに辿られる大きな掌が、ヴィヴィにもたらすのは、

 恐怖以外の何物でもなかった。

「ああ、お可愛らしい……」

 そう囁かれながら両の掌で大きく乳房を揉み上げられても、

 白い咽喉から這い上がって来るのは、細い恐怖の悲鳴。

 飽く事無くシャツの布地越しに弄られていたその掌が止まり。

 そして、

 白い襟の下からボタンを外していくリーヴの指が、顎下に触れ。

 ぷちぷちと開かれていく胸元に、

 ぞっとしたヴィヴィが、必死に拘束された両腕を振り下ろすが、

「次に暴れたら、痛い目にあいますよ?」

 初めて発せられた怒気を滲ませた恫喝に、華奢な身体がひくりと震え上がり。

 そしてそのまま大人しくなったヴィヴィを、リーヴは青い瞳を細めて躰を開いていく。

 剥き出しの首筋を執拗に舐め回されても、

 ブラ越しに小ぶりなそこを愛撫されても、

 ずり下げられて露わになった薄紅色の尖りに、

 吸い付かれても、舌先で転がされても、
 
 ヴィヴィが覚えていたのは、身の毛もよだつ恐怖と憎悪の念。

「………………」

 私は。

 私は、こんな男に心を躰と穢される為に、

 この21年間を生きてきたのか――?
 
 ぐしゃぐしゃの金の髪の間、小さな顔は虚ろな表情を宿し。

 答えのない問いを、呆然と頭の中で繰り返していた。

 なのに、

「ふ……。お嬢様のお身体は、快楽に従順でいらっしゃる」

「………………」

 久方ぶりに掛けられた問いに、微かに眉間が寄る。

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