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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第19章       

匠海は篠宮の跡取りを欲しがっていた。

自分と血の繋がった実の子供を欲しがっていた。

それは、男として、大人として、至極自然のことなのだろう。

けれど、そうして授かった子供達が保険?

それって、いったい、

“何の代わり” の保険――?


既に兄は “その答え” を吐露したのに、どうしても認めたくなかったヴィヴィは、ひたすらに動揺していた。

「本当に失ってみて、ようやく分かった。もうこれ以上、失うものなんか、何一つ無いんだって……」

「え?」

「ピル……。ずっと飲んでないんだろう?」

「―――っ!?」

「長い間、夢見ていた……。ずっと……、ずっと “ここ” に――」

ふいにシャツの上から撫でられた腹。

這わされた掌から伝わった、煮え滾る兄の執念に咽喉の奥が引き攣り、気が付けば必死に叫んでした。

「ひ……っ いやぁ……っ!!」

「そうしたら、お前は一生俺の傍にいてくれる。そうだろう?」

涙を湛えた慈悲を乞う眼差しにも、小さな顔は色を無くし横にぶるぶる震えるばかり。


狂ってる。

今の匠海は狂っている。

15歳の私が、兄の気持ちなど微塵も慮れなかった様に。

目の前の匠海は、私の意思を何一つ尊重してくれない。

濁った灰色の瞳には私の姿が映り込んでいるのに、何も見えていないし、見るつもりもない。


兄にリベンジポルノまがいの事をされた時、自分は辛辣な嘘を吐いた。

避妊薬を服用していないのに中出しさせて「妊娠してるかも?」と兄を脅した。

その時、

『産んでくれ』

『お前が育てる気がないなら、俺の手で責任もって育てるから。だから!』

すこぶる必死だった匠海の姿が脳裏を過ぎり、あれが紛れもない兄の本心だったのかと、慄然した。


もし、

もし万が一、兄妹の子を妊娠したとして、その後の算段はあるのか?

ましてや今は、二度と無い五輪シーズン。

そしてきっと、自身にとって最後の現役生活となるのに、そんな事も壊されなければならないのか?

あの、四年前の悪夢のように――

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