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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第22章     

舞に腕を引かれて立ち上がろうとしたヴィヴィを引き留めるように、テレビから流れたのは、また あの曲――

その音色にふと一瞬だけ振り返ったヴィヴィは、口を真一文字に結びながらソファーから重い腰を上げる。

最後の最後、匠海と顔を合わせた時――我を失った兄に乱暴されそうになったあの日。

その場に流れていたのが、この la vie en rose――薔薇色の人生 だったから。

幸せの絶頂を追憶する曲。

なのに、

自分がこの曲を聴くたびに連想するのは、 

生涯をかけ愛した男と骨肉の争いを経ての、永遠の別れ。

今更それに引きずられる事は無い。

無いけれども。

「高低差ありすぎて耳キーンなるわ……」

そう往年のギャク? を ぼそりと吐いたヴィヴィに対し、昔から面倒見の良い姉御はというと、

「だから、なにがやね―――んっ!!」

そう王道の突っ込みをしてくれたのだった。



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