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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第3章   

 小さな顔がくしゃりと歪む。


 この人はやはり、自分を愛してなどいなかったのだろうか?

 自分勝手で我が儘で、時に暴走する人だったけれども。

 それでも無数に示してくれた親愛の情と、

 大切な宝物の様に慈しんでくれた記憶があったから、
 
 だから。

 自分には(一刻とは言えども)心の底から “女として愛されたと” いう自負があった。
 
 でもあれは、演技だったのだろうか――?

 自分が兄を無理やり穢して以降、

 匠海は “妹” に異様なほどの執着を見せるようになった。
 
 妹の自分の心と躰を繋ぎ止める為だけに、

 あんな表情やあんな言葉を、表に出す事が出来るのだろうか?
 
 果たして、そんな人間、この世の中に存在するのだろうか?

 いたとすれば、自分からしたらそんな輩は、人の心を持った “人間” じゃない。

 まさしく “宇宙人” ――。

 互いに相容れぬ相手。

 理解しようとする努力すら無駄な異星人。

 ――現実逃避する為か、どんどん飛躍していく思考に、その時のヴィヴィは全然気付いていなかった。

 それどころか、真剣に胸を痛めていた。

 どうしよう。

 どうしよう。
 
 こんな美しい男の皮を剥いだ跡に、中から現れたのが、

 粘液デロン臭気モワン、のグロテスクなエイリアンだったら――

「――リア……。……ヴィクトリア?」

 あまりにも真剣に、自分の妄想に憑り付かれていたヴィヴィは、

 何度か名を呼ばれてやっと、思考の淵から現実へと引き戻され。

「~~~っ!?」

 声なき絶叫を上げ、自分を至近距離から心配そうに見下ろしている匠海をガン見した。

「おい。何で「宇宙人に遭遇した!」みたいな目で、俺を見る?」

 微妙な表情を浮かべて問うてくるその人に、

「離してっ この、色惚けエイリアンっ!!」

 ヴィヴィは拘束された両手を突っ張り、本気で叫んでやった。

 この Extra-Terrestrial !

 略してE.T.めっ!!

 地球防衛軍にチクって、とっ捕まえさせてやる――!

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