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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第3章   

「う……そ……、嘘っ! やだ……っ」

「じきに良くなってくる」

 媚薬なる物が、この世にあることさえ知らなかったヴィヴィの目の前、

 匠海は5分袖のサマーセーターから伸びた両腕を、引き締まった腹の前でクロスし、

 妹を跨いだまま、紺色のトップスを脱いでしまった。

「……――っ」

 目に飛び込んできた匠海の逞しい肉体に、ヴィヴィは驚嘆して顔を背ける。

 ぱっと目にしただけでも解かる、

 理想的な肩の曲線を描く僧帽筋に、厚い胸筋。
 
 色素の薄い皮膚の下、嫌味無い程度に割れた腹筋が、妙に艶めかしくて。

「ほら、中が熱くなってきた」

「やっ ん……っ ~~~っ」

 確かに兄の言う通り、ヴィヴィの秘められた場所は、

 魅力的な兄の体躯を目にしたこともあり、

 更にそこへと血が集まっていて。

「そろそろ、ヴィクトリアの大好きな裏側、ムズムズしてくるんじゃないかな?」

「い、いやぁ……っ」

 言わないで。

 言葉にしないで。

 兄の少し低めの声でそんな卑猥な言葉を囁かれるだけでも、ヴィヴィの粘膜はひくつき始めていた。

「カプサイシン、だったかな? 植物由来の血流促進成分が入っているからね」

 カチャカチャと金属の擦れ合う音に、はっと兄を振り仰げば、

 うっとりと自分を見下ろす、熱っぽい瞳と視線がかち合い。

「だから、ヴィクトリアの膣の中、真っ赤に充血して、トロトロに蕩けていく」

 妹に噛んで言い含ませながらも、ベルトを外した匠海は、

 遂にベージュのカーゴパンツまでをも、脱ぎ捨ててしまった。

「いやぁっ やだ、取って! いやぁっ」

 熱くて熱くて堪らなかった。

 塗り込められた薬は確実に効いているらしく、

 後から後から分泌される蜜が、とうとう収まりきれずに、

 とろりと膣口から零れ落ちる様子さえ、まるで手に取るように分かって。
 
 羽毛布団に後頭部を擦り付けながら悶える妹を、

 兄はまるで手の掛かる子供に接するように、金色の頭を撫でてあやしてくる。

「ほら、中疼いてきたんじゃないか?」

 耳に直接吹き込まれた囁きにさえ、

 薄紅色へと染まり始めた躰がぴくんと震え。
 
 ヴィヴィは我慢出来ず、とうとう甘い喘ぎを漏らし始めた。

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