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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第6章     

「そんなの、ヴィヴィの方が、大事……」

 いつもならリンクにいる時間、わざわざ妹を出迎える為に在宅してくれていたとは。

「……クリス……。ごめんね、ありがとう!」

 ダリルの腕の中から、クリスの胸の中へと飛び込めば、

「おかえり、ヴィヴィ……」

 心底ほっとした様子で囁いてくる、双子の兄の声音に、

 ヴィヴィも日常に戻れる安堵の溜息を洩らした。

「ん。ただいま……」



「ヴィヴィ、早く新しいお部屋見てヨ!」

 緑色のくりんくりんの瞳を輝かせながら、ヴィヴィの片手を引っ張って行くダリル。

 2階への階段を上がる2人に、クリスも着いて来ていて。

「ふふ。ダリル、クリスのお世話、してくれたの?」

 ヴィヴィが日本に帰国する際、

 「添い寝して、クリスのお世話してあげる❤」と豪語していた同居人に、面白そうに確認すれば、

「もっちろんよォ~。もうワタシタチ、酸いも甘いも噛み分けた仲♡ ですもんネ、クリスぅ~?」

 タッタッタッと、数段階段を降りたダリルは、

 金色の猫毛の髪をクリスの腕にすりすりしながら、熱っぽい瞳で見上げるが。

「……はい……?」

 心当たりが全く無いのか、思わず階段の途中で立ち止まったクリス。

「はは。じゃあダリルは、クリスのお嫁さんだね~?」

 帰国前のジュリアンの戯言、を真似てからかえば、

「妻デスゥ~♡」

 拙い日本語を紡ぐダリルは、静々とクリスの半歩後ろに寄り添った。

「あははっ」

 腹を抱えて笑うヴィヴィに、

「クリス 篠宮 ノ、妻デスゥ~♡」

 調子に乗ったダリルが、今度はクリスの二の腕に、ちょこんと三つ指を付いてきて。

「あっはっはっ! ダリル、日本語 上手~っ」

 階段の木の手すりに掴まりながら、ゲラゲラ爆笑するヴィヴィに対し、

「やめて……」

 そう弱々しい声で懇願する、クリスなのであった。

「あれ? こっちは、クリスの部屋じゃ……?」

 屋敷の正面から見て、右側の部屋に入って行こうとするダリルに問えば、

「僕のと、部屋替え、したんだ……」

 後ろからクリスが説明してくれて。

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